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2010月1月に設立されたスンダランド・アート・ネットはアートによるアジアの国々での国際交流をめざしています。

フィリピン・ナイト、USTREAMで中継します

 フィリピンに来て14年の私にはついていけていないところもあるのですが、このごろはなんだかUSTREAMづいています。
 6月半ばに、人に貸している日本の小さな一軒家がめでたく「南浦和アートセンター(MAC)」として生まれ変わったお披露目の奏楽の生中継があり、そのあと、7月の頭にはコーディリエラに何度も来てくれている大阪のコンテンポラリーダンサーJUNさんの定期公演の模様の生中継があったと思ったら、今度は今夜、私も協力している沖縄の前島アートセンターでの「フィリピン・ナイト」の中継があるのだそうです。今夜の中継には、私もskypeでインタビューに答える予定(インターネットの環境が日本ほどよくないので、ビデオはなしで音声だけになるかも)。
 今夜の会場の「前島アートセンター時間美術館」なんていうと、すごい立派な現代美術の美術館かと思いましたが、さきほど9-kyu—の内田牧子さんに聞いたら市場の一角にあるえらくフレンドリーな空間だそうです。そうでなくっちゃ。

 今夜の「フィリピン・ナイト」には、沖縄に住むいろいろな形でフィリピンと関わってきた人たち7~8人と、skypeでフィリピンからマニラのアルビンさんと反町が参加します。ゆるーーい飲み会みたいなイベントだそうですが、いろいろなフィリピンを感じたい方、ぜひぜひご覧ください。
USTREAM
http://www.ustream.tv/

(反町眞理子)

沖縄・前島アートセンターで「フィリピンナイト」

先住民の作った「カラバオ・コーヒー」も登場します


 このブログで紹介した那覇市の小さなギャラリー「9-kyu」で7月29日~8月9日に企画されている「フィリピン山岳民族のカゴと棚田の神様」展の関連企画として7月23日(金)に前島アートセンターで「フィリピンナイト」というイベントが行われます。

 前島アートセンターは、沖縄における現代アートの活性化を目的としたNPO法人で、様々なアート活動を行っています。スンダランド・アート・ネットの反町が代表を務める在フィリピンの環境NGO「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)」主催の「エコロジカル・ペインティング・コンペティション(環境絵画コンペ)」に日本から審査員としてフィリピンに来てくれた現代美術家・SHIMABUKU(島袋道浩)さんが、バギオで映像作家のキドラット・タヒミック氏に会い、自分のルーツ・沖縄とフィリピン北ルソンの共通エレメンツに着目。「ぜひ、沖縄でキドラット映像作品の上映を!」と思い立った時に企画に協力してくれたのが前島アートセンターでした。前島アートセンターでのキドラットの作品上映会は2004年に実施されました。

 前島アートセンターでは、2010年5月より、現代美術に関わらない様々な知の共有を目的とした「トランスアカデミー」というイベントを実施してきたそうで、第1回では、大阪市立大学で行われたアジア・アートマネジメント会議の出張報告会を、第2回では、日本一分別基準が厳しいと言われている新潟県水俣市の23区分に挑戦してみるワークショップ、「ごみ分別ナイト」を行い、今回、第3回目として「フィリピンナイト」を開催してくれるとのこと。
  前島アートセンターによると
「沖縄から地理的にも近く、歴史的な背景にも共通する部分が多くあるものの、どのような国であるかいまいちイメージできない部分も多いフィリピンという国にスポットをあて、フィリピンの食事や文化を体験しながら、フィリピンに関係する人物へのインタビュー等を見てゆく企画です」
とのこと。9-kyu-オーナーの内田牧子さんが、前島アートセンターと協力して沖縄のフィリピン関係者に広く声をかけてくださっているそうで、何が飛び出すか、とっても楽しみ!

 また「コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)」が、環境保全に配慮したコーディリエラ山岳民族の生活向上のために推進してきた森林農法によるアラビカ・コーヒーも、このイベント「フィリピン・ナイト」の会場とギャラリー9-kyu-の「フィリピン山岳民族のカゴと棚田の神様」展で、ほんの少しだけ試験販売いたします。


(コーヒーのパッケージはイラストレーターのきよしげのぶゆきさんのカラバオのイラストを、
スンダランド・アート・ネットの廣田緑さんがデザインしてくれました)


焙煎は静岡の焙煎堂の川口さんがしてくれました。
「ちょっと酸味の残る感じで仕上がっていると思います」と川口さん。
沖縄でフィリピン先住民族のコーヒーをぜひお試しください!

(反町眞理子)

沖縄のギャラリーでフィリピン先住民族の手仕事とCGNの活動を紹介する企画展開催


 元青年海外協力隊の陶芸隊員としてルソン島中部のタルラック州サンタ・クルス町に滞在していた内田牧子さんが、沖縄(那覇市)でやっている小さなギャラリー「9-kyu-」で、7月29日から8月9日まで「フィリピン山岳民族のカゴと棚田の神様~環境NGOの活動とフェアトレード」という企画展を催してくれることになりました。

 スンダランド・アート・ネットのメンバー反町が主宰するフェアトレード団体「カラバオ・ママ」として、先住民たちのカゴや手織物、木彫りなど、山の暮らしが育んできた手仕事の展示と販売を行うほか、コーディリエラ・グリーン・ネットワーク(CGN)製作のCGNの活動と山岳地方の森林破壊の現状を捉えた「Whisper of the Forest(森のささやき)」、山の村でのコミュニティ環境アート・プロジェクトのドキュメンタリー「Where have all the Monkeys Gone?(サルはどこ行った?)」、山の村の先住民の暮らしや子供たちの遊びといきいきした表情を捉えたショート・ビデオも上映します。

「Where have all the monkeys gone?(サルはどこへ行った?)」は、スンダランド・アート・ネット代表の廣田緑さんが、インドネシア・バンドンの陶芸作家ササン君を伴って来比した際のアート・プロジェクトを記録した作品。いわば、スンダランド・アート・ネット発足のきっかけがこのプロジェクトでした。ビデオ作品では、緑さんとササン君がフィリピンに滞在していたアメリカ人陶芸家のレイさんと一緒に、村人に陶芸での山の村の森から姿を消してしまったサル面作りを指導し、一晩かけて野焼きし、バギオ市アートスペースVOCASで展示するまでの一部始終を記録しています。また、サルの棲み家であった森が失われてしまった森林破壊の現状に対するメッセージもこめられています。
(このプロジェクトについては、廣田緑さんのYOGYAKARTA TIMESでも詳しく紹介してくれていました)



 さらに、昨年、バギオ市のBaguio – Mountain Provinces Museum主催でショッピングモール「SMバギオ」で行った日比写真家による作品展「Kalinga-the Land of Earth Beat」展示作品の中から、選りすぐりの作品も展示。参加の写真家はRuel Bimuyag、JP Alipio、日本からは直井保彦。それぞれまったく違う視点でカリンガ先住民族の暮らしを捉えていて、とても興味深い写真展です。



 さらにさらに、北ルソンの小さな先住民族の村を舞台にした映画「アボン-小さい家」の上映も、バギオ市のお隣り、ラトリニダード町に住む今泉光司監督のご好意により行えることになりました。(7月31日7pm)。

 内田牧子さんは、協力隊の任期を終えて日本に戻ってからも、大好きなフィリピンのことが忘れられず、自分の得意なハンディ・クラフトの分野でフィリピンのためにできることをしたいと、2007年、沖縄のカゴ作家小川京子さんと一緒にコーディリエラ地方を訪ねてくれました。アパヤオ州ルナ郡ラッパ村のティンギアン族によるニト(ツル植物)のかご作り、イフガオ州フクボン村の竹のかご作り、バナウエ町のラタンのカゴ編み、マウンテン州ナトーニン郡のアバカ細工などの生産者を訪ね、デザインのアドバイスなどをいただきました。

  あれからちょうど3年、心の中に、あのときのカゴ作りの現場をめぐった旅の思い出をあたためていてくれたのでしょう。沖縄で始めた素敵なギャラリーでの今回のこの「フィリピン山岳民族のカゴと棚田の神様」展のお話をいただき、とてもうれしかったです。
 「NGOの活動に協力する!」というと、「寄付かボランティアか」と思いがちですが、自分のもっている技術や知識や場所や才能を生かしてできることが、ほかにもいろいろとあると思います。今回の牧子さんのように。

 このブログを読んでいる方に、沖縄に住んでいる人は少ないかもしれませんが、ぜひ、沖縄のお知り合いに宣伝ください。本当に本当に盛りだくさんな企画で、コーディリエラのすべてを感じられます!

詳細は9-kyuのHPにて。
http://makikoubou.com/modules/kyunews/

9 -kyu-ギャラリー企画展vol.5
『フィリピン山岳民族のカゴと棚田の神様』
環境NGOの活動とフェアトレード
会期:7月29日(木)~8月9日(月)
時間:12:00pm~19:00pm
定休日:火・水曜日

(反町眞理子)

スンダランド・アート・ネットへようこそ!

 近年、日本の多くのアーティストが創作活動の域を国内にとどまらず、海外へ広げています。今、われわれ現代人が直面している環境問題、民族紛争、経済問題に対して地球規模での取り組みが必要な中、世界の調和と平和のために創作活動する人々が、国境を越えて世界へと活動範囲を広げていくのは自然なことでしょう。
 しかし日本と海外を結ぶ創作活動は渡航費・滞在費など多額の経費を要し、個人で活動するアーティストにとっては大きな経済的負担です。また多くのアーティストは団体(NPOや市民団体)に属していないため、いわゆる社会的信用が得にくいゆえに補助金や助成金が受けにくいという問題も抱えています。
さまざまな国の人々と理解を深め、手を携えて世界平和に向けて歩むため、アートの担う役割は今後もますます大きくなるでしょう。経済活動や社会貢献活動とは一線を画した、各国のアーティストとのコラボレーションによる創作活動、また、コミュニティにおける草の根の表現活動は、世界中の人々と同じ目線、世界共通語としてのアートで実現する国際交流であり、世界平和の実現に向けての大きな力になると信じています。

美術や演劇、音楽など表現の世界では、優位国としての西欧やアメリカの基準がすべてのスタンダードであるかのように受け入れられてきました。しかし、古来自然をあるがままに意識し、受け入れ、ときに畏れ称え、その存在と調和を保ちながら共存する術を身につけてきたアジアや環太平洋圏の人々の豊かな感性は、欧米とは違う独自の価値基準の創造世界を生み出してきたのです。
現代社会のあらゆる局面で表面化している問題の解決方法を、最先端技術に委ねるのも一つの道でしょう。けれどもその前に、われわれが取り戻すべきものは、アジアや環太平洋圏の文化に根づいた「自然との共存、自然への畏敬」の感性ではないでしょうか。アジアの伝統文化を見つめなおし、「学び」「探求し」「表現する」ことによって、アジアのアート・スタンダードを形成し、世界の協調と平和のために発信してゆくことが、『Sundaland Art Net』の目標です。


団体名の「Sundaland(スンダランド)」とは、2万年前の氷河期時代にあったといわれる、幻のアジア大陸です。広大なスンダランドはアジア系民族の故郷で、紀元前5万年頃に一部が北上してモンゴルやシベリアへと広がり、北方系のアジア民族になりました。彼らは丸木舟で黒潮に乗って北上、琉球列島に到達し、彼らの子孫が、港川人や縄文人になったと考えられています。
また、一部は海洋民族として太平洋に広がり、さらにスンダランドと陸続きになっていたジャワ島やバリ島から海を渡り、オセアニアに移住した人もいたともいわれます。
私たちアジア人はみな、このスンダランドを故郷としているのです。アジアと環太平洋圏の人々の感覚に多くの共通点があるのも当然のことでしょう。いまこそ、お互いが育んできた文化をよりよく知り、その価値を認め合い、手を取り合って、世界の平和と地球の環境維持のために歩み始めるときではないでしょうか。 
 『Sundaland Art Net』は、アジアと環太平洋の国々で表現活動を行ってきた人々による、ゆるやかなグループを想定しています。将来メンバーの皆さんが国内外におけるそれぞれの国際交流活動の機会を増やしていけるよう、情報交換や助成金へのアクセスなどで相互協力することを目指します。活動趣旨に賛同いただける方の参加をお待ちしています。